朝比奈颯季　ネット小説 / 軽井沢ヴィラ・ヘメロカリス第２３章　北海道からの知らせ　：　Satsuki Asahina Web Novel / Karuizawa Villa Hemerocallis

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第２３章
北海道からの
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　第２３章　北海道からの知らせ

　ヴィラ・ヘメロカリスの受付に一本の電話が入った。矢崎の妻からだった。埼玉の自宅に帰っているはずの主人と連絡が付かないので、若しかして、まだ軽井沢に滞在中ではないか？という問い合わせだった。
　電話に対応した森泉は、矢崎の殺人事件で刑事が捜査に来ていたのを知っていたので、その事実をありのままに伝えた。
　夫の訃報を聞いた妻は、声を詰まらせたかと思うと、「そんな馬鹿な、そんなはずはない」と泣きながら連呼した。
　森泉は「おやげない」と妻の心中を慮(おもんばか)った。
　彼女が少し落ち着くのを待ってから、森泉は、佐久署の電話番号を伝え、詳細を尋ねるように言って、電話を切った。

　佐久署に、矢崎の妻から電話が入った。
「お気の毒ですが、旦那さんは殺害されました」
　木内は答えた。
「何故、主人は殺されたんですか？犯人は見つかったんですか？」
「えーとですね。現在、鋭意捜査中であります」
「犯人は捕まってないということですか？」
　妻の口調には非難の色が滲んでいた。
「まぁ、そういう事ですな。所で、奥さん。埼玉の自宅へ何度も連絡したのですが…全く出られませんでしたね。ここ数日、あなたは一体、何処で何をしていたんですか？」
「今は北海道におります。姉夫婦が、定年を機に北海道へ移住したものですから、一ヶ月前から遊びに来てるんです」
「しかしですね、何日も旦那の行方が分からないのに捜索願も出さないというのは、如何なもんですかねぇ」
　木内は嫌味を込めて言った。
「主人は、写真が好きでして撮影旅行ともなると、山小屋などに籠もって何日も連絡が無いということがよくありました。今回も信州に行くと言っていたので」
「旦那さんは、１週間ほど前に、札幌便で松本に来たようですが、それまでは、北海道にいたんですか？」
「はい、一緒に北海道に滞在していました。その後、主人だけで信州に向かいました。霧が峰や軽井沢でも、写真をたくさんとれると喜んでいたんです。それが、こんな事になるなんて…」と声を詰まらせて、涙にむせた。
「そうでしたか。旦那さんがお亡くなりなって大変辛い所、申し訳ありませんが、遺体の確認などもありますので、直ぐに長野の方へ来て下さい」
「分かりました。直ぐに長野に向かいます」
　木内は、佐久署までの道程を説明して電話を切った

　第２３章　終了

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