関連リンク：
女優力
奥菜恵
[DVD]
PHOTO BOOK
奥菜恵/弟切草
[単行本]
＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝
東京ラブストーリー
DVD BOX
鈴木保奈美
＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝
NHK DVD
サラリーマンNEO
セクスィー部長
瞬殺フェロモン17連発!
沢村一樹 出演
雨と夢のあとに
DVD-BOX
沢村一樹 出演
内田康夫サスペンス
浅見光彦シリーズ
DVD-BOXII
2時間サスペンス版
沢村一樹 主演
|
第８章 愛子の不安
愛子は嫌な予感がした。
石墨が矢崎を誘って飲みに行くという話を犬養から聞いたからだ。
パンフレットの打ち合わせをするらしいが、その件は既に、以前の会議で、軽井沢在住のプロのカメラマンに依頼済みだ。
守銭奴(しゅせんど)の石墨なら素人カメラマンを使って経費を抑えるということも考え付きそうだ。
しかし、釈然としなかった。
腹黒い石墨が何か企んでいるように思えてならなかった。
それと同時に、酒の席で問題を起さなければ良いがと心配になった。
今夜の相手は男だから、間違いはないとは思うが、矢崎は社外の人間なだけに何か問題を起せば一大事だ。
去年の忘年会で、石墨がセクハラ問題を起した。
それ以前の飲み会でも、相沢清子(あいざわ きよこ)という若い女性社員の尻や胸を触るというセクハラをしていたが、去年の忘年会で、二次会の終了後に、無理矢理ホテルに連れて行こうとした。
幸い相沢が逃げて事なきを得たが、その後、相沢から報告があり、その醜聞(しゅうぶん)は社内を駆け巡った。
相沢の説得と示談金で表沙汰になる事はなかったが、もし裁判沙汰にでもなればホテルのイメージダウンは必至だった。
石墨は濡れ衣だといって過ちを最後まで認めようとはしなかったが、訓告と減給という処分となった。当然、社内からは処罰が甘いという声が上がった。
厳罰に処するようにと、愛子は、何度も諫言したが、社長の寛司(かんじ)は、歯切れの悪い返事をするばかりだった。
順調な時は自信満々のくせに、何か大きな問題が起きると、直ぐに逃げようとする。
愛子は、煮え切らない寛司の態度を見て、石墨に何か弱みでも握られているのではないかと思った。
相沢清子は、以前は高崎市のホテルに勤めていたが、一年前に、ヴィラ・ヘメロカリスで中途採用となり、石墨の部署で働いていた。
参考写真： 高崎市の地図（ 高崎市 website より）
相沢は、ブライダル部門を志望して入社したのだが、ブライダル部門は、人気があり人材も豊富だったので、希望通り行かなかった。
しかし、セクハラ問題後、愛子は、相沢の希望を受け入れて、ブライダル部門へ異動させた。
相沢の異動が、石墨の稲葉に対するライバル心を、さらに増長(ぞうちょう)させてしまった。
稲葉に対する辛辣(しんらつ)な言動は激しくなる一方だった。
取りまとめ役の愛子には、石墨が頭痛の種だった。
石墨は、仕事は滅法(めっぽう)出来るが、熱くなり過ぎるきらいがあった。
それに、爬虫類(はちゅうるい)を思わせる切れ長の瞳が不気味だった。
セクハラ問題でごたごたしている最中、愛子と稲葉が不倫をしているという噂が、社内に流れた。
愛子は、噂の出所が石墨ではないかと疑った。
自らの醜聞をかき消すためにデマを流したに違いない推測した。
石墨ならやりかねない。
人を蹴落としてでも伸(の)し上がっていこうとする男だ。
愛子は彼に対する警戒を一層強めた。
愛子は、稲葉を社長室に呼んだ。
「用件は何でしょうか、副社長」
「悪い情報よ。石墨専務が、今夜、矢崎というアマチュアのカメラマンと会うみたいなの」
「何故、カメラマンなんかと？」
「パンフレットの仕事の打ち合わせらしいわ」
「専務は、地元のカメラマンを使うことに最後まで難色を示していましたが、会議で決まったはずです。それに、既に仕事は、地元のカメラマンに依頼済みですよ」
「私は、何か裏があると思うのよ。セクハラ問題以来、専務の動向がおかしいわ。お互い、彼の動向には注意しましょう」
「分かりました。それで、専務は何処でカメラマンと会うんですか」
「おそらく、佐久(さく)にある恋時雨(こいしぐれ)という店だと思うわ。彼から回ってくる領収書の殆どは、恋時雨の物だから」
「了解しました。早速、網を張りましょう」
稲葉は社長室を退出し、裏口から外に出て、携帯電話を取り出した。
｢もしもし、俺だ。今夜、あいているかい？頼みたい仕事があるんだ。佐久の恋時雨という居酒屋で張って欲しいんだ。石墨が、矢崎という初老の男を連れて行くはずだ。よろしく頼むよ。この埋め合わせは、後でたっぷりするからさ｣
稲葉は、電話を切ってから、社長室に戻った。
大きな地図で見る
参考地図 ： 佐久市 ( Google map より）
第8章 終了
→ 第９章 ： 密会 へ
→ このページのトップへ戻る
|
|
