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高岡早紀
高岡早紀写真集
「TIME DIFFERENCE」
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第３３章 不安な夜
幸明は不安で仕方がなかった。父は警察に連行され、その日は家に帰って来なかった。
姉の由美子がひき逃げに遭って行方不明になった上、父の文忠まで警察に連れていかれてしまった。
幸明には、何がどうなっているのかさっぱり分からなかった。
母は、ひき逃げしたのは絶対にパパではないと言っていたし、幸明もそう信じていた。
事故の推定時刻には、家族三人で、姉が家に戻ってくるのを待っていたのだ。
絶対に父が犯人の筈はない。
母も、その事を警察に、必死になって説明したが、家族の証言は、アリバイにならないと一蹴された。
「警察は、大馬鹿だ」と、母が激怒していた。
いつもは、子供部屋の二段ベッドで姉と寝ているのだが、その晩は母と一緒の布団で寝た。
温かくて柔らかかった。
幸明は、布団の中で目を閉じたが、中々、寝付けなかった。
そのうち、母が声を殺してすすり泣く声が聞こえてきた。薄目を開けてみると、涙で枕を濡らしていた。
「ママ、大丈夫？」
幸明は、目を開けて尋ねた。
「ごめんね。起しちゃったね」
「僕も心配で寝付けないんだわ」
「そうだね、心配だね。どうして、こんなことになっちゃったのかしら」と涙を零した。
「ママ、大丈夫。元気だして」
「ありがとう、幸明」
「きっと僕が、パパを警察から連れ戻してくるよ。それに、姉ちゃんをひき逃げした奴らを捕まえてやるよ。だから、ママ、泣かないで」
「ありがとう」
母が、布団の中で、幸明を優しく抱きしめてくれた。
第３３章 終了
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